「因幡の白兎」は生物学的にもありえない! - 「高天原の縁側日記」
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2016/04/28

「因幡の白兎」は生物学的にもありえない!

古事記の『素兎』(古事記の記載は白兎ではなくて素兎)は白兎だったのか?

一般的に目にする白兎はアルビノ兎です。

アルビノとは、先天的なメラニンの欠乏により体毛や皮膚は白く、瞳孔は毛細血管の透過により赤色を呈します。

劣性遺伝や突然変異によって発現しているのです。

広く動物全般(もちろん人も)に見られ、シロウサギやシロヘビが有名です。

ほとんどの場合、視覚的な障害を伴い、日光(特に紫外線)による皮膚の損傷や皮膚がんのリスクが非常に高くなります。

また外部から発見されやすく自然界での生存は極めてまれです。

そのため、しばしば神聖なものやあるいは逆に凶兆とされ、信仰の対象として畏れられました。

また、観賞用としても人気があります。なおアルビノは、正常な遺伝情報により白化した白変種とは異なります。

つまりは、白ではなくて無色<なのです(あの愛らしい赤い目も、血液中のヘモグロビン色素の為です。)。

昔は齧歯目に分類されていたウサギが、「ウサギ目」として独立した理由は、齧歯目の上顎の門歯が2本しかないのに対し、ウサギの上顎の門歯は表の2本の裏に小型のくさび状の門歯が重なって生えている(つまり門歯が4本ある)ことが大きいのです。

ウサギの絵を描くとき、かならず二本の可愛らしい上前歯を描きますよね、実は重なっているから4本なんですよ。

少し前までは、「重歯目(歯が重なっているから)」と呼んでいました(最近はゾウも長鼻目ではなくゾウ目などと呼ぶように変わってきています)。

『古事記』に出てくる白兎!「本当は素兎と記載」は学名Lepus brachyurus・ニホンノウサギ(日本野兎)・Japanese hareのはずです。

毛色はもちろん野生色!

更に隠岐の島からワニを騙して渡ってきたことから、L. b. okiensis オキノウサギ(隠岐野兎)という日本野兎の固有亜種と考えられます。

日本野兎
(良い写真がなくてwkiからお借りしました)


だからどうなんだ、という話しなのですが、アルビノのJW(ジャパニーズホワイト)は 起源は明らかでないですが、明治初期に輸入された外来種と日本在来種との混血によって生じたと考えられています。

日本でよく見かけるアルビノ、JWとNZW(ニュージーランドホワイト)の見分けかたを少し教えましょう。

外見殆ど変わり無いのですが、耳の長さがJWの方が1.5倍ほど長いです。

写真で比べてみましょう(笑)。

JW.jpg
(JW、耳が長いのがおわかりですね?)


NZW.jpg
(NZW、短い耳動物園で見分けて、自慢しましょう、笑)


日本における飼育の始まりは、欧州等を原産とするアナウサギを改良して近世以降に輸入・飼育されるようになったものであるとされます。

移入された時期は天文年間 (16世紀前半) で、オランダ人がペットとして日本へ連れて来たと伝えられています。

ですから、因幡の白兎が本当に白かったはずは有りません。

白い兎なんて天敵の肉食獣や猛禽類の格好の的ですものね。

冬毛で白かった可能性も否定は出来ませんが、山陰の海岸をわざわざ冬に、嫁探しの旅をする必要性を感じませんし、「古事記」の内容からも冬をイメージさせるものは有りません。

更に、蒲の穂先に花粉がつく頃は夏から秋にかけてですから、兎が冬毛のはずもないのです。

それを、神聖な白兎に変えたのは、神々の神格化を強めたい、明治政府の策略かも知れません。

明治の教科書には、真っ白な兎が大国主と一緒に描かれています。

「古事記」にも『素兎』と書かれています。素のままの兎の事ですよね。

古事記も、大国主の心の広さと知識が国を治める条件、としたかったのではないでしょうか(一般的に蒲の穂にくるまった様な印象が有りますが、前回UPしたように、蒲の花粉にくるまっているんです。)?

ガマを刈り取って穂をはたくと、黄色い花粉が取れます。

この花粉が 「ホオウ 穂黄」。

中国漢方の生薬で、止血剤、鎮痛剤、利尿剤として用いられます(大国主、流石は神様、凄い知識力ですよね!)。

皆さんはどう思われますか?

こういう科学的・生物的アプローチもこれからの歴史学には必要だと感じています。

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